Ⅰ.リカバリーカレッジとは
リカバリーカレッジであるための6つの特徴 (理念編)
1.学び合いの場
2.共同創造:共につくり、共に講座を進行し、共に学ぶ
3.リカバリーや、それぞれの強みや可能性を重視している
4.可能性にひらかれている(可能性を探り、見つけていく、進んでいく)
5.地域とも精神保健福祉サービスともつながり、そのふたつの架け橋となる
6.すべての人を受けいれ、開かれている
リカバリーカレッジの理念と実践例(リカバリーカレッジガイダンス)より
1.成人教育的アプローチ
リカバリーカレッジは、学生とトレーナーが経験や知識、スキルを共有することで協力し合い、互いに学びあう、成人教育のアプローチに則っています。学生は自分の学びに責任を持ち、対話的で内省的なエクササイズを通して学習します。学生は、自己への気づき、自身の困難さに対する理解、実践的で適切な自己管理能力を身につけます。学生は、自分の興味や希望に最も適したコースを選択します。
リカバリーカレッジは、デイケアなどのような治療を提供する場所ではありません。学生は誰かから病気を治すため、あるいは症状を軽減するために何を学ぶかを決められることはありません。自分自身の主体的な選択で学ぶことを選び、そこに集う人たちと共に相互に学び合う場所です。
2.Co-production (共同創造)
リカバリーカレッジは、精神健康の困難を経験した人と、専門職や地域のひと、その他誰もが、共につくり上げるものです。リカバリーカレッジでは、運営、あらゆるレベルの意思決定、講座の企画からその提供まで、すべてのプロセスが共同で行われます。
3.リカバリー志向
リカバリーカレッジではあらゆる面においてリカバリー志向であると同時に、一人ひとりの強みや可能性を重視しています。学生は、学び合うことにより、自分自身の健康を保ち、そして、自分が望むような人生を送るうえで必要なもの・役立つことや心構えを身につけることができます。
4.地域コミュニティにひらかれている
リカバリーカレッジは、地域団体(例:当事者団体、芸術活動やスポーツ活動のグループ)や教育機関と連携し、関連するコースを共同で企画運営しています。 リカバリーカレッジは、学生に情報や配布物、イベントを提供し、学生がコミュニティで価値ある活動、役割、関係、サポートに参加できるよう支援します。
メンタルヘルス問題を持つ人、家族、その介護者、隣人、支援機関の人々はみなリカバリーカレッジに参加することができます。 リカバリーカレッジの理念は、「すべての人に開かれており、関心を持つ人は誰も締め出さない」ということです。
Ⅱ.リカバリーカレッジの始まりとひろがり
リカバリーカレッジは米国でのRecovery Education等が源流とされ、英国で大きく発展してきました。英国では2009年に初めて開設され、国の施策として整備されました。病院のデイケアが地域のリカバリーカレッジに移行してきています。
そして、英国のほか、ヨーロッパや日本、アジアにもリカバリーカレッジは広がっています。
日本では、東京都三鷹市で2013年より、東京都立川市で2015年より実践がはじまっています。その後、岡山、福岡、佐賀、名古屋、群馬、大田区など各地で開催されるようになりました。開催の時期や期間、内容の規模もそれぞれです。そして2022年からは全国のリカバリーカレッジが集まって文化祭が開かれています。今年も12月に東京で開催されます。日本のリカバリーカレッジの特徴は制度的な後押しがないので、関心をもった有志、団体が助成金をとるなどして、出来る範囲で行っています。どこも財政的な基盤は軟弱です。
高知県では(一社)りぐらっぷ高知が 2019年に「リカバリーカレッジ報告会&体験会」を高知県民文化ホールで開催し、リカバリーセミナーを2021年にかるぽーとで4日間8講座で開催しました。そして2022年から高知県立大学との共催で、文部科学省の助成を受けてリカバリーカレッジ高知が始まりました。